グループホーム(認知症対応型共同生活介護)で働く介護職員の平均年収は約340〜380万円がボリュームゾーンで、夜勤手当や処遇改善加算次第で400万円超も射程に入ります。この記事では1ユニット9名という小規模運営ならではの収益構造を踏まえ、年収の内訳・他施設タイプとの違い・職種別の見え方・現場の実例・FAQまで順番に整理。求人票で見るべき数字までセットで把握できる構成にしました。
- 常勤介護福祉士の中央値は年収約360万円、管理者は450〜550万円
- 夜勤手当(月4〜5回・1回6,000〜10,000円)が年収を底上げする最大要因
- 特養より加算は控えめだが、業務密度が穏やかで定着率が高い
グループホームの年収:結論
グループホームで常勤として働く介護職員の年収中央値は約340〜380万円です。厚生労働省「令和5年度介護従事者処遇状況等調査」の流れを踏まえると、月給ベースで27〜30万円、賞与込みで330〜400万円台に収まる事業所が大半を占めます。
なぜこのレンジに収まるのか。理由はグループホーム特有の運営要件にあります。1ユニットは利用者9名まで、1事業所最大2ユニット18名と制度上スタッフ規模が固定されており、夜勤は1ユニットあたり1名配置(夜間支援体制加算取得時)。その結果、夜勤回数が月4〜5回と安定して回ってきて夜勤手当が積み上がる一方、医療職常駐がないため看護師配置加算等での上振れは限定的です。
また、運営主体は株式会社系・社会福祉法人系・医療法人系・NPO系とバラつきが大きく、賞与水準に差が出やすいのもポイント。社会福祉法人系は年3.5〜4ヶ月、株式会社系の単独事業所は2〜2.5ヶ月にとどまる傾向があり、ここで年収40〜60万円の差が生まれます。
キャリアアップ視点では、計画作成担当者(ケアマネ兼務)で年収400〜470万円、管理者で450〜550万円が現実的なラインです。小規模ゆえポストは少ないものの、一度上がれば一般介護職員と100万円以上の差がつくのが構造的特徴と言えます。
年収の詳細データ・内訳
グループホーム介護職員の月収・年収は、①基本給 ②各種手当 ③夜勤手当 ④処遇改善加算分 ⑤賞与 の5要素で組み立てられます。それぞれを分解して見ていきます。
月収内訳の目安(介護福祉士・経験5年・常勤)
- 基本給:195,000〜220,000円
- 資格手当(介護福祉士):8,000〜15,000円
- 夜勤手当:30,000〜45,000円(月4〜5回×6,000〜10,000円)
- 処遇改善加算分:15,000〜25,000円
- 住宅・通勤・家族手当等:10,000〜20,000円
合計で月額26〜32万円、年収換算で賞与込み350〜390万円が中心値となります。
経験年数・資格別の年収目安
| 区分 | 年収レンジ | 月収目安 |
|---|---|---|
| 無資格・経験1年未満 | 270〜310万円 | 22〜25万円 |
| 初任者研修・経験3年 | 310〜350万円 | 25〜28万円 |
| 実務者研修・経験5年 | 330〜370万円 | 27〜30万円 |
| 介護福祉士・経験5〜10年 | 360〜410万円 | 29〜33万円 |
| 計画作成担当者(ケアマネ) | 400〜470万円 | 32〜37万円 |
| 管理者 | 450〜550万円 | 36〜44万円 |
処遇改善加算の影響
2024年度の制度改定で「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、最上位の加算Ⅰを取得しているグループホームでは介護職員1人あたり月額1.8〜2.5万円が分配されます。加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳで支給額が大きく変わるため、求人票に「処遇改善加算Ⅰ取得」と明記されているかは年収を読む上で最重要のチェック項目です。
夜勤専従パート・登録ヘルパーの場合
- パート時給:1,050〜1,300円(地域差あり)
- 夜勤専従パート:1夜勤あたり22,000〜28,000円(16時間換算)
- 夜勤専従パート月8回フルで働くと年収260〜330万円も可能
- 夜勤手当が年収の10〜15%を占める。夜勤回数で年収が大きく動く
- 処遇改善加算Ⅰ取得事業所と未取得事業所では年収差が30〜40万円
- 賞与は法人格で差。社福系3.5〜4ヶ月、株式会社系2〜2.5ヶ月が目安
他の施設タイプとの比較
グループホームの年収を正しく評価するには、特養・老健・有料老人ホーム・デイサービス・サ高住など他の介護施設との比較が欠かせません。
施設タイプ別 年収比較表(介護福祉士・経験5年想定)
| 施設タイプ | 年収レンジ | 夜勤の有無 | 業務特徴 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 350〜410万円 | あり(月4〜5回) | 重度者中心・身体介護多め |
| 介護老人保健施設 | 360〜420万円 | あり(月4〜5回) | リハ・在宅復帰支援 |
| 有料老人ホーム | 320〜430万円 | あり | 事業者差が大きい |
| グループホーム | 340〜380万円 | あり(月4〜5回) | 認知症ケア・少人数 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 300〜360万円 | あり/なし | 見守り中心 |
| デイサービス | 290〜340万円 | なし | 日勤のみ・カレンダー型 |
特養との違い
特養は要介護3以上の重度者が中心で、加算(看護体制加算・日常生活継続支援加算等)が厚いため年収上限が高くなりがち。一方、業務密度・身体的負担も大きく、離職率は特養10%台後半に対しグループホームは10%前後と低水準です。年収だけ見るとほぼ互角ですが、「年収/負荷」のコスパでは小規模なグループホームに分があります。
老健との違い
老健は医師常駐・看護師多め・リハ職常駐と専門職比率が高く、組織全体の人件費が高めに設計されています。介護職単体でみると年収はグループホームと近接しますが、夜勤帯の医療対応負担はグループホームの方が軽い。
有料老人ホームとの違い
株式会社運営の住宅型・介護付有料は、上限が430万円超まで伸びる代わりに下限も320万円と幅が広い。給与テーブルが明確な大手チェーンは安定的ですが、小規模事業者は年収のばらつきが大きいのが現実です。
デイサービスとの違い
デイは夜勤がないため年収は60〜80万円下がります。家庭との両立を取るならデイ、年収を取るならグループホームという選び分けになります。

グループホームでの主要職種別の見え方
グループホームには介護職員以外にも複数の職種が配置され、それぞれ年収レンジが異なります。
介護職員(無資格〜実務者研修)
年収280〜350万円。無資格でも応募可能なのがグループホームの間口の広さで、入職後に初任者研修→実務者研修→介護福祉士とステップアップすると、5年で年収を約80〜100万円押し上げられます。
介護福祉士
年収340〜400万円。資格手当8,000〜15,000円が固定で乗り、特定処遇改善加算の配分対象となるため加算Ⅰ事業所では月額1〜2万円が追加されるケースも。
計画作成担当者(ケアマネジャー兼務)
年収400〜470万円。グループホームでは1ユニットに1名の計画作成担当者配置が義務付けられており、介護支援専門員(ケアマネ)資格保有者または研修修了者が担当します。ケアマネ手当2〜3万円/月が上乗せされ、計画書作成・モニタリング業務を担うため夜勤回数が減る代わりに日勤帯の責任が増します。
管理者
年収450〜550万円。3年以上の認知症介護実務経験+認知症対応型サービス事業管理者研修の修了が要件。1事業所1名のため求人母数は少なく、内部昇格が中心です。
看護師(非常駐・連携配置)
年収380〜460万円。医療連携体制加算を取得する事業所では訪問看護ステーションからの派遣または非常勤雇用で配置され、医療系処遇となるため介護職より高めに設定されます。
- 計画作成担当者は介護福祉士+ケアマネ取得で最も投資対効果が高い
- 管理者ポストは少数だが、内部昇格で実現可能性が高い
- 無資格スタートでも5年でステップアップ年収+80万円が現実的
現場の声・実例
実例1:30代女性・介護福祉士・勤続6年
「入職時は無資格で月給21万円スタート。3年目に介護福祉士を取得して月給26万円、夜勤月5回で手取りが大きく変わりました。今は計画作成担当者を兼務し、年収410万円。少人数ケアで利用者一人ひとりとじっくり向き合えるので、特養から転職してきて満足しています」
実例2:40代男性・管理者・勤続10年
「介護職員→ユニットリーダー→計画作成担当者→管理者と内部昇格。年収は入職時310万円→現在520万円。グループホームは小規模ゆえ管理者と現場の距離が近く、運営判断が利用者ケアに直結する手応えがあります。事務処理は増えますが、年収以上にやりがいがあります」
実例3:20代女性・実務者研修・勤続2年
「初任者研修だけで入職、年収310万円。夜勤月4回で手取り22万円ほど。同期で特養に行った友人より基本給は1万円ほど安いが、夜勤の業務量が穏やかで、休憩もしっかり取れる。実務者研修取得で来年は330万円台に上がる見込みです」
給与で失敗しないための実例ポイント
- 賞与年2回でも「年2ヶ月」と「年4ヶ月」で年収40万円差。求人票の「賞与ヶ月」記載を必ず確認
- 処遇改善加算の区分は事業所により異なる。面接で「加算は何区分ですか?」と聞くのは失礼ではない
- 夜勤回数は月4回想定で年収提示されることが多い。実態が3回だと10万円以上ズレる
次のアクション
グループホームの年収を踏まえて次に取るべき行動は、目的別に3つに分かれます。
ここのデータ・比較表で この記事のテーマ の輪郭を把握する。
勤務地・経験年数・希望年収を整理し、当てはまる選択肢を絞り込む。
介護専門の転職エージェントなど、現場情報を持つ専門家に相談すれば判断精度が上がる。
- 現職の年収アップを狙う場合:介護福祉士→ケアマネと資格を積み、計画作成担当者・管理者ポストを内部で目指す。同事業所内のキャリアパス相談を上長に持ちかけるのが最短ルート。
- 転職で年収を上げたい場合:処遇改善加算Ⅰ取得・賞与3.5ヶ月以上・夜勤手当8,000円以上の3条件を満たす求人に絞り込む。介護専門の転職エージェントを2〜3社併用して条件比較するのが定石。
- 働き方を見直したい場合:夜勤専従パートやデイサービスへのシフトも検討。年収は下がるが時間単価は高く、ライフステージに合わせた選び方が可能。
いずれのケースでも、求人票の年収数字だけでなく、内訳(基本給・夜勤手当・賞与・加算)まで分解して比較する姿勢が失敗回避の鍵となります。
よくある質問
Q. グループホームの年収は他の介護施設より高いですか?
A. 中位レンジに位置します。デイサービスやサ高住より高く、特養・老健とほぼ同等、有料老人ホームの上位層には届かない、というのが実勢です。業務負担とのバランスでは小規模運営のグループホームが「年収/負荷」のコスパで優位に立つケースが多くあります。
Q. 無資格でもグループホームで働けますか?年収はいくらですか?
A. 働けます。年収は270〜310万円が中心レンジで、入職後に法人負担で初任者研修や実務者研修を受けられる事業所も多く、3年で介護福祉士受験資格に到達するキャリア設計が可能です。
Q. 夜勤なしのグループホーム求人はありますか?
A. 数は限定的ですが、日勤専従パートや早番・遅番のみのシフトを組める事業所はあります。ただし常勤で夜勤なしを希望する場合、年収は60〜80万円下がる前提で考える必要があります。
Q. 処遇改善加算は本当にもらえているのか確認する方法は?
A. 給与明細に「処遇改善手当」「特定処遇改善手当」等の項目が明記されているかで確認できます。基本給に組み込み配分する事業所もあるため、入職前に「加算は何区分で、どのように分配されているか」を質問するのが確実です。
Q. ケアマネ資格を取れば年収はどれくらい上がりますか?
A. グループホームで計画作成担当者を兼務する場合、ケアマネ手当2〜3万円/月が上乗せされ、年収ベースで30〜50万円のアップが見込めます。さらに管理者ステップに進めば追加で50〜80万円の上振れが期待できます。
Q. グループホームの管理者になるには何が必要ですか?
A. ①認知症介護実務経験3年以上 ②認知症介護実践者研修修了 ③認知症対応型サービス事業管理者研修修了 の3要件が原則です。年収は450〜550万円帯となり、1事業所1名の希少ポストです。
Q. パート・登録ヘルパーの時給相場は?
A. 日勤パートで時給1,050〜1,300円、夜勤専従パートで1夜勤22,000〜28,000円が目安です。都市部・有資格者ではこれを上回ることもあります。
