介護老人保健施設(老健)とは?仕事内容・年収・求人の探し方の数値整理【2026年版】

介護老人保健施設(老健)とは?仕事内容・年収・求人の探し方を徹底解説【2026年版】 | 介護老人保健施設 イメージ


「介護老人保健施設(老健)で働くと年収はどれくらい?」「特養や有料老人ホームと何が違うの?」――介護業界で転職を考えるとき、施設タイプ選びは年収もキャリアも左右する重要な分岐点です。とくに老健はリハビリ職と連携しながら在宅復帰を支援する独特のポジションで、医療と生活支援の中間に位置します。

この記事では、厚生労働省の公的統計と現場の実態を踏まえ、老健の業務内容・給与水準・他施設との比較・求人選びのコツまでを介護キャリア編集部が体系的に整理します。未経験で老健への転職を検討している方も、すでに介護職として働いていて施設タイプを変えたい方も、判断材料を一気に揃えられる構成です。

この記事のポイント
  • 老健は「在宅復帰」を目標としたリハビリ中心の中間施設で、医療職との連携が必須
  • 介護職員の平均月収は約27〜30万円、特養と並び介護施設の中では待遇が安定
  • 夜勤あり・医療行為頻度が高めだが、リハビリ知識やケアマネへのキャリアパスが描きやすい
目次

介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設(以下、老健)は、介護保険法第8条第28項に基づき設置される公的な介護保険施設です。要介護1以上の高齢者が対象で、病院から在宅生活へ戻るまでの中間的なリハビリ拠点として機能します。在宅復帰率や回転率が運営評価の指標とされており、長期入所を前提とする特養とは性格が大きく異なります。

運営主体は医療法人や社会福祉法人が中心で、必ず医師が常勤することが義務付けられています。理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリ専門職、看護師、介護職員、管理栄養士、支援相談員、介護支援専門員(ケアマネ)が一体となってチームケアを提供します。

入所期間は原則3〜6か月程度を想定し、定期的な「入所判定会議」で在宅復帰の可否を検討します。短期入所療養介護(ショートステイ)、通所リハビリ(デイケア)、訪問リハビリの併設も多く、施設内で多様なサービス形態を経験できる点が特徴です。

他施設タイプとの違い

老健・特別養護老人ホーム(特養)・介護医療院・有料老人ホームの違いを整理すると、目的・対象・医療体制で明確に分かれます。転職時はこの違いを把握しておくことで、面接時の動機づけにも一貫性が生まれます。

項目 介護老人保健施設(老健) 特別養護老人ホーム 介護医療院 有料老人ホーム
主な目的 在宅復帰・リハビリ 長期生活支援 長期療養+生活 居住・生活支援
対象 要介護1以上 原則要介護3以上 要介護1以上(医療必要) 自立〜要介護
医師 常勤必須 嘱託でも可 常勤必須 配置義務なし
リハビリ職 必置(PT/OT/ST) 機能訓練指導員 必置 施設による
入所期間 3〜6か月目安 終身可 長期可 長期可
このh2のポイント
  • 老健は「治療後の在宅復帰」がミッションで、医師・リハ職との多職種連携が前提
  • 特養との最大の違いは入所期間と医療体制の濃さ
  • 併設サービスが多く、デイケアや訪問リハビリも経験可能

介護老人保健施設の業務内容

老健の介護職員は、生活支援に加えてリハビリ補助・医療連携の比重が高いのが特徴です。日中はリハ職と協働しながら離床機会を増やし、ADL(日常生活動作)向上を後押しします。経管栄養や喀痰吸引などの医療的ケアが必要な利用者も多く、看護師との情報共有が業務の中核を占めます。

主な業務(7項目)

身体介護・生活支援に加え、リハビリ視点の業務が日常的に発生します。以下が現場で発生する代表的な業務です。

  • 食事介助:嚥下評価に基づく姿勢調整、食形態の確認、STとの連携
  • 入浴介助:機械浴・特浴・一般浴の使い分け、皮膚観察と看護師への報告
  • 排泄介助:トイレ誘導が原則。在宅復帰のためオムツ卒業を支援
  • 移乗・移動介助:PT指示の歩行訓練を日常生活内で再現
  • 機能訓練の補助:自主トレーニング見守り、リハ職の指示伝達
  • 記録・カンファレンス:在宅復帰計画(ケアプラン)更新のためのADL記録
  • レクリエーション:認知機能維持と離床促進を兼ねた集団活動

1日のスケジュール例

時間 業務内容
7:00 夜勤からの申し送り、起床介助、整容
8:00 朝食介助、口腔ケア、服薬確認
9:30 バイタル測定、リハビリ送り出し
10:00 入浴介助、機能訓練補助
12:00 昼食介助、休憩
14:00 レクリエーション、記録
15:30 おやつ介助、排泄ケア
17:00 カンファレンス、夜勤への申し送り

夜勤・シフト体制

多くの老健は2交代制を採用し、夜勤は16時間勤務で月4〜5回が一般的です。1ユニット20〜30名に対し介護職員2名+看護師1名で対応する体制が標準で、医療依存度が高い利用者がいるぶん看護師がオンコールではなく夜勤に入る点が特養との大きな違いです。3交代制を導入する施設も増えており、夜勤の負担軽減を重視するなら採用前に確認しましょう。

このh2のポイント
  • 業務の中心は身体介護+リハビリ補助+医療連携の3軸
  • 1日の中でリハ職・看護師との連携場面が多く、観察力が問われる
  • 夜勤は看護師が常駐するためバックアップ体制が手厚い

介護老人保健施設の年収・給与

施設タイプ別の介護職員 平均年収特別養護老人ホーム380万円介護老人保健施設370万円有料老人ホーム360万円グループホーム340万円デイサービス330万円訪問介護320万円サ高住340万円出典:厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」「賃金構造基本統計調査」をもとに作成(概算)
施設タイプ別の平均年収相場(2025-2026年度概算)

平均年収の目安

厚生労働省「令和5年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、老健で働く常勤介護職員の平均月給(基本給+手当+一時金1/12)は約31万8千円で、年収換算では約380〜430万円のレンジに収まります。これは介護施設の中で特養と並び高水準で、訪問介護やデイサービスより夜勤手当のぶん上振れする傾向があります。

出典:厚生労働省「令和5年度介護従事者処遇状況等調査結果」「賃金構造基本統計調査(令和5年)」

職種別の年収レンジ

職種 平均月給 年収目安
介護職員(無資格) 約26〜28万円 320〜360万円
介護福祉士 約30〜33万円 370〜420万円
介護支援専門員(ケアマネ) 約34〜37万円 410〜460万円
看護師 約36〜40万円 440〜500万円
理学療法士・作業療法士 約30〜34万円 370〜430万円
支援相談員 約28〜32万円 340〜400万円

他施設タイプとの年収比較

施設タイプ 介護福祉士の年収目安 夜勤手当(1回)
介護老人保健施設 370〜420万円 6,000〜8,000円
特別養護老人ホーム 360〜420万円 5,500〜8,000円
介護医療院 370〜430万円 6,500〜8,500円
有料老人ホーム 320〜400万円 5,000〜7,500円
グループホーム 310〜380万円 5,000〜6,500円
訪問介護 300〜370万円 原則なし

年収アップの具体的な方法

老健で年収を伸ばす王道は資格取得+夜勤+役職の3点セットです。まずは介護福祉士を取得すると処遇改善加算の上乗せ対象になり、月給が1.5〜3万円上がるケースが多いです。次にケアマネ(介護支援専門員)を取れば、ケアプラン業務に移行して年収400万円台後半を狙えます。さらにユニットリーダーや介護主任になると、役職手当が月1〜3万円加算されます。

処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算は施設ごとに配分ルールが異なるため、求人票の「処遇改善手当の支給実績」欄は必ずチェックしましょう。

このh2のポイント
  • 老健の介護福祉士は年収370〜420万円が中央値
  • 介護施設の中では特養と並び上位水準
  • ケアマネ取得で年収450万円台への到達も現実的

介護老人保健施設で働くメリット・デメリット

キャリア観点で見ると、老健は「医療・リハビリ・在宅復帰」を学べる稀有な現場です。一方で医療依存度の高さから新人にはハードに感じる側面もあります。

  • リハビリ職と連携でき、介助技術と評価視点が同時に身につく
  • 看護師が夜勤常駐でバックアップ体制が厚く、医療的ケア未経験者も安心
  • 給与水準が介護施設の中で上位、夜勤手当も高め
  • 在宅復帰のプロセスを学べるためケアマネ・地域包括への展開がしやすい
  • 多職種カンファレンスが日常的にあり、観察・記録・報告のスキルが磨かれる
  • 入退所サイクルが早く、利用者との関係構築に時間をかけにくい
  • 医療行為への対応・観察項目が多く、記録量が多い
  • 在宅復帰率の評価指標があり、現場にプレッシャーがかかる時期もある

長期的に1人の利用者に寄り添いたい人は特養、医療現場の延長で働きたい人は介護医療院が合うこともあります。「リハビリと医療を介護視点で学びたい」という志向と老健の特性は強く合致します。

介護老人保健施設に向いてる人・向いてない人

向いている人の特徴は、観察と記録が苦にならず、チーム医療の一員として動ける点です。とくに以下に当てはまるなら老健はキャリアの土台として優れた選択肢になります。

  • リハビリや医療知識を介護に活かしたい人
  • 多職種連携が好きで、報告・連絡・相談が得意な人
  • 将来ケアマネ・主任介護支援専門員を目指している人
  • 在宅復帰支援にやりがいを感じる人

一方、向いていない傾向としては「同じ利用者と長期的な関係を築きたい」「記録業務が極端に苦手」「医療的ケアへの抵抗が強い」というケースです。これらに該当する場合は、特養やグループホーム、有料老人ホームのほうが働きやすい可能性があります。

このh2のポイント
  • 多職種連携・観察・記録が得意な人は老健で大きく伸びる
  • 長期の関係性重視なら特養、医療色が苦手ならグループホーム
  • キャリアパスを意識する人にとって老健は「学べる現場」

介護老人保健施設の求人を見つけるには

老健は施設数こそ全国に約4,300施設(令和5年介護サービス施設・事業所調査)あるものの、給与水準・夜勤体制・在宅復帰率で格差が大きい領域です。求人を比較する際は以下のステップで進めると失敗を避けられます。

まず
介護特化型エージェントに登録

介護業界専門の転職エージェントに2〜3社登録し、老健の非公開求人と相場感を集めます。総合転職サイトより夜勤回数や処遇改善加算の情報が詳細です。

次に
在宅復帰率と加算区分を確認

老健は「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他」の5区分があり、上位区分ほど報酬単価が高く給与に跳ね返ります。求人票や口コミで区分を確認しましょう。

最後に
見学と夜勤体制チェック

面接前に必ず施設見学を行い、夜勤の人員配置・記録システム・リハ職との距離感を体感します。気になれば現場職員にも質問しましょう。

失敗しない選び方5項目

  1. 処遇改善加算・特定処遇改善加算の支給実績を金額ベースで確認
  2. 夜勤回数(月3回以下/4〜5回/6回以上)で生活リズムを判断
  3. 在宅復帰率の区分を確認(超強化型は給与上振れしやすい)
  4. リハ職の人数比率(PT/OT/STが手厚いほど学びが多い)
  5. 離職率と勤続年数を口コミ・面接で確認

よくある質問

Q. 介護老人保健施設は未経験でも働けますか?
未経験での採用は十分に可能です。多くの老健で「介護職員初任者研修」修了レベルから応募でき、入職後に実務者研修・介護福祉士の取得を支援する制度を備えています。看護師が夜勤常駐するため医療的ケアの初動も学びやすく、未経験者にとって教育環境は整っている部類です。ただし記録業務やカンファレンスへの参加が早期からあるため、報告・連絡・相談が苦にならない人が向いています。
Q. 老健と特養、給料が高いのはどちら?
介護福祉士の平均年収で見ると老健と特養はほぼ同水準で、施設ごとの差のほうが大きいのが実情です。厚労省の処遇状況等調査では、老健の常勤介護職員の平均月給は約31.8万円、特養は約32.4万円とわずかに特養が上回ります。ただし在宅強化型・超強化型の老健は加算が厚く、特養を上回るケースもあります。比較する際は加算区分と夜勤手当を含めて確認しましょう。
Q. 老健で働くと医療行為はどこまで担当しますか?
介護職員が担当できる医療的ケアは、喀痰吸引等研修を修了している場合に限り「口腔・鼻腔内の喀痰吸引」「経管栄養の注入」が可能です。インスリン注射・点滴・褥瘡処置などは看護師の業務範囲で、介護職員は観察・報告に留まります。老健は医療依存度が高い利用者が多いぶん、研修制度を活用してスキルアップする機会は豊富です。
Q. 老健の夜勤はきついですか?
夜勤は16時間勤務×月4〜5回が一般的で、利用者30名前後に対し介護職員2名+看護師1名の体制が標準です。看護師が常駐する点は精神的に大きな安心材料で、急変時もオンコール待ちにならずに済みます。とはいえ記録業務や巡視、医療的ケアの介助があり負荷は軽くありません。3交代制を導入する施設も増えており、生活リズムを優先するなら勤務形態を求人票で確認しましょう。
Q. 老健からのキャリアパスはどんな選択肢がありますか?
老健は多職種連携と在宅復帰支援の経験を積めるため、その後のキャリアの選択肢が広いのが強みです。代表例は、(1)介護支援専門員(ケアマネ)取得→居宅介護支援事業所へ、(2)主任ケアマネ→地域包括支援センター、(3)介護福祉士→ユニットリーダー・施設長、(4)社会福祉士取得→支援相談員といったルートです。リハビリ視点を活かしてデイケア管理者を目指す人もいます。

介護老人保健施設まとめ

介護老人保健施設は、医療・リハビリ・生活支援が交差する「学べる現場」です。給与水準は介護施設の上位、看護師夜勤体制によるバックアップも厚く、未経験から介護福祉士・ケアマネへとキャリアを伸ばす土台に向いています。一方で記録量や入退所サイクルの速さは負担にもなり得るため、自分の志向と施設の在宅復帰区分を照らし合わせて選ぶことが重要です。

ここのサマリ
  • 老健は在宅復帰を目的とした中間施設で、医師・リハ職・看護師・介護職のチームケアが前提
  • 介護福祉士の年収目安は370〜420万円、夜勤と資格取得で上振れ可能
  • 求人選びは「加算区分」「夜勤回数」「処遇改善実績」の3点をエージェント経由で比較

執筆者:介護キャリア編集部(介護福祉士・社会福祉士の有資格者を含む編集チーム)

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この記事を書いた人

介護福祉士・ケアマネジャー・看護師・施設長など、現場経験のある執筆者と編集者で構成された編集部です。一次情報と公的データ(厚生労働省・WAM NET・各種白書)を裏取りした上で、現場の体感に近い言葉で記事をまとめています。

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