小規模多機能の年収はいくら?平均給与・内訳・他施設比較の実態

小規模多機能の年収はいくら?平均給与・内訳・他施設比較を徹底解説 | 小規模多機能型居宅介護 年収 イメージ


「小規模多機能で働くと年収はどのくらいになるのか」――通い・訪問・泊まりを一体的に提供するこのサービスは、他の介護施設と人員配置や勤務形態が大きく異なるため、給与水準もイメージしづらいものです。ここでは、厚生労働省の介護労働実態調査などの公的データを軸に、小規模多機能型居宅介護の平均年収、内訳、他施設タイプとの違い、職種別の見え方、そして現場の声までを一気通貫で整理します。読み終える頃には、転職や処遇改善の判断材料がそろうはずです。

先に結論
  • 常勤介護職員の平均年収はおおむね330万〜380万円が中心レンジ
  • 「登録定員29名」の小規模性が給与構造に独特の影響を与える
  • 夜勤手当・処遇改善加算の運用次第で年間40万円前後の差が生まれる
  • 特養より低め、デイサービスより高めという中間的なポジション
目次

小規模多機能の年収:結論

小規模多機能型居宅介護で働く常勤介護職員の平均年収は、おおむね330万〜380万円が中心レンジです。厚生労働省「令和5年度介護従事者処遇状況等調査」および介護労働安定センターの実態調査を踏まえると、夜勤手当を含む月給は27万〜31万円前後、賞与は2.0〜3.0か月分が一般的な水準として観測されます。ただし運営主体(社会福祉法人・医療法人・株式会社・NPO)や地域、加算取得状況によって幅が大きく、同じ職種・同じ経験年数でも年収50万円以上の差が出ることは珍しくありません。

小規模多機能の特徴は、登録定員が29名以下という小さな単位で「通い・訪問・泊まり」を一体提供することにあります。スタッフ数も常勤換算で7〜10名程度と少なく、利用者一人ひとりとの関わりが深い反面、多機能ゆえに業務範囲が広がりやすい構造です。この「業務の幅広さ」と「夜勤の有無」「処遇改善加算の取得区分」が、最終的な年収を左右する三大要素になります。

結論を急ぐ読者向けに先に整理すると、年収を底上げしたい場合は「夜勤あり常勤」「処遇改善加算Iを取得している事業所」「介護福祉士またはケアマネジャー資格保有」の3条件を満たす職場を選ぶことが、もっとも近道です。次章以降で、その内訳と背景を数字で確認していきます。

年収の詳細データ・内訳

常勤介護職員の月給・賞与モデル

小規模多機能で働く常勤介護職員の標準的な給与モデルは下記で整理します。実際の支給は事業所ごとに異なりますが、平均的な事業所をイメージするための目安として参考にしてください。

項目 金額の目安 備考
基本給 180,000〜220,000円 経験・資格で変動
資格手当 5,000〜20,000円 介護福祉士で1万円前後が多い
夜勤手当 5,000〜8,000円/回 月4〜5回で2〜4万円
処遇改善加算 15,000〜35,000円 加算区分により変動
通勤・住宅手当 5,000〜25,000円 事業所規定による
賞与(年間) 50万〜80万円 2.0〜3.0か月分が中心

経験年数による年収カーブ

小規模多機能は事業規模が小さいため、大規模法人ほど明確な等級制度を持たないケースが多く、昇給は1年あたり3,000〜6,000円程度に落ち着く傾向があります。一方、無資格スタートでも介護福祉士を取得し、5〜7年で計画作成担当者やケアマネジャーへステップアップすると、年収が一気に50万〜80万円跳ね上がるパターンも観測されます。

  • 1〜3年目:年収300万〜340万円(資格取得前後で差)
  • 4〜7年目:年収340万〜400万円(介護福祉士・リーダー手当)
  • 8年目以上:年収380万〜480万円(管理者・ケアマネジャー兼務)

処遇改善加算と特定処遇改善加算の影響

2024年度の介護報酬改定で一本化された「介護職員等処遇改善加算」は、小規模多機能の給与に大きく影響します。加算区分IとIVでは、月額換算で1.5万〜2万円程度の差が生まれるため、求人票を見る際は加算の取得状況を確認することが重要です。賞与に上乗せする方式と毎月分割支給する方式があり、年収比較では「年間総額でいくら配分されているか」を確認しましょう。

夜勤体制と手当の構造

小規模多機能は宿泊サービスを併設するため、原則として夜勤体制が組まれます。ただし宿泊定員は最大9名と少なく、夜間の人員配置は「夜勤1名(または宿直1名+オンコール)」というパターンが一般的です。夜勤手当の単価は5,000〜8,000円が中心で、特養(6,000〜10,000円)より低めに設定される傾向があります。これは利用者数が少なく業務密度が相対的に低いと評価されているためです。

要点
  • 夜勤手当の単価は特養より低めだが、業務負担も比較的軽い
  • 処遇改善加算の取得区分で年収40万円前後の差が出る
  • 役職昇進よりも「資格取得+兼務」が年収アップの近道

他の施設タイプとの比較

小規模多機能の年収を相対化するために、代表的な介護サービス類型と比較してみましょう。下表は常勤介護職員(経験5年・介護福祉士保有)の平均年収レンジの目安です。

サービス類型 平均年収レンジ 夜勤 業務範囲の特徴
特別養護老人ホーム 360万〜430万円 あり(月4〜5回) 重度要介護者中心、身体介護が多い
介護老人保健施設 350万〜420万円 あり 在宅復帰支援、リハ職連携
有料老人ホーム 340万〜410万円 あり 運営会社で差が大きい
小規模多機能 330万〜380万円 あり(軽負担) 通い・訪問・泊まりを横断
グループホーム 320万〜380万円 あり 認知症対応、9名定員ユニット
デイサービス 290万〜340万円 原則なし 日中のみ、土日休み事業所も
訪問介護 300万〜360万円 原則なし 1対1、移動時間あり

特養・老健より低めになる理由

特養や老健は要介護度の高い利用者が中心で、人員配置基準も厚く、夜勤回数も多くなります。結果として夜勤手当の総額が大きく、基本給の水準も高めに設定されやすいのです。一方、小規模多機能は登録定員29名という上限があり、事業規模が小さいため、大規模法人のような潤沢な給与原資を確保しづらい構造があります。

デイサービス・訪問介護より高めになる理由

逆にデイサービス単独や訪問介護のみの事業所と比較すると、小規模多機能は夜勤手当が加算される分、年収は高くなる傾向があります。また、ケアマネジャー業務を内包しているため、計画作成担当者として資格を活かせばデイ単独より50万円以上高い年収を狙えます。

グループホームとの比較

もっとも近いポジションにあるのがグループホームです。どちらも小規模・夜勤あり・地域密着型サービスという共通点があり、年収レンジも重なります。違いは「グループホームは認知症ケア特化」「小規模多機能は機能横断」という業務内容にあり、年収より業務適性で選ぶべき領域です。

小規模多機能型居宅介護 年収 詳細イメージ

小規模多機能での主要職種別の見え方

介護職員(無資格・初任者研修)

無資格または初任者研修修了で入職した場合の年収は、おおむね280万〜330万円です。小規模多機能は少人数体制ゆえ、未経験者でも早期から通い・訪問・泊まりすべてを経験することが多く、スキルアップは早い反面、当初は業務量に給与が追いついていないと感じる声もあります。

介護福祉士

もっともボリュームゾーンとなる介護福祉士の年収は330万〜400万円。資格手当が月1万円前後付くほか、リーダーや夜勤専従として加算される場合は、年収420万円台に到達する例もあります。小規模多機能では介護福祉士比率が処遇改善加算の要件にも関わるため、資格保有者は事業所側の評価が高くなりやすい職種です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

小規模多機能には「計画作成担当者」として常勤専従のケアマネジャー配置が義務付けられています。年収は380万〜450万円が中心で、居宅介護支援事業所のケアマネより50万円ほど低くなる傾向があります。これは介護業務との兼務が多いためで、純粋な計画作成業務に専念したい場合は居宅ケアマネのほうが向いています。

看護職員・管理者

看護師の年収は400万〜480万円、管理者(多くは介護福祉士+実務経験+研修修了者)は430万〜550万円というのが目安です。管理者は経営的視点や加算管理の責任を負うため、純粋な現場職よりプレッシャーは大きくなります。

現場の声・実例

事例1:30代女性・介護福祉士・経験8年

地方都市の社会福祉法人運営の小規模多機能で勤務。基本給21万円、夜勤月4回、資格手当・処遇改善加算込みで月給32万円、賞与年間75万円、年収約460万円。「特養から転職して年収は20万円ほど下がったが、利用者一人ひとりとじっくり関われる満足度は高い」と語ります。

事例2:20代男性・初任者研修修了・経験2年

都市部の株式会社運営事業所で勤務。基本給19万円、夜勤月3回、各種手当込みで月給26万円、賞与年間40万円、年収約350万円。「介護福祉士を取得すれば月1.5万円アップすると言われており、来年の取得を目指している」とのこと。

事例3:40代女性・ケアマネジャー兼介護福祉士・経験15年

NPO運営の小規模多機能で計画作成担当者を兼務。基本給25万円、夜勤は月1〜2回に抑え、年収約480万円。「居宅ケアマネより年収は低いが、利用者の生活そのものに関われるのが小規模多機能の醍醐味」と話します。

ここがポイント
  • 同じ施設タイプでも運営主体・地域で年収差は50万円以上
  • 「年収は中堅、関わりの深さはトップクラス」が現場共通の声
  • 資格取得+兼務でキャリアと年収を同時に伸ばしやすい

次のアクション

小規模多機能で年収を最大化したい場合、行動順序は明確です。まず介護福祉士資格の取得を最優先し、次に処遇改善加算Iを取得している事業所へ的を絞って情報収集を行いましょう。求人票では「加算区分」「夜勤手当の単価と回数」「賞与実績(前年度)」「住宅・通勤手当」の4点を必ず確認します。

STEP1 全体像をつかむ

ここのデータ・比較表で この記事のテーマ の輪郭を把握する。

STEP2 自分の条件と照らす

勤務地・経験年数・希望年収を整理し、当てはまる選択肢を絞り込む。

STEP3 信頼できる相談先を持つ

介護専門の転職エージェントなど、現場情報を持つ専門家に相談すれば判断精度が上がる。

転職を検討するなら、介護専門の転職エージェントを2〜3社併用し、同じ求人でも提示条件に差が出ないかをチェックするのが定石です。地域密着型サービスの特性上、同一中学校区内に複数の小規模多機能が並ぶことは少ないため、通勤可能エリアを広めに設定したほうが選択肢が増えます。最終的な判断は「年収単体」ではなく「年収÷総労働時間」と「自分の介護観との合致度」で行うのが、長く続けるコツです。

よくある質問

Q. 小規模多機能は他施設より年収が低いと聞きますが本当ですか?

A. 特養・老健と比較するとやや低めですが、デイサービスや訪問介護より高い水準です。夜勤体制が比較的軽く、人員配置基準上の常勤換算が小さいことが理由で、業務負担に対する給与水準としては妥当な範囲といえます。

Q. 夜勤なしで小規模多機能で働くことは可能ですか?

A. 完全に夜勤なしの常勤求人は限られますが、日勤専従や短時間正社員制度を導入する事業所は増えています。年収は夜勤あり常勤より40万〜60万円ほど下がる前提で検討してください。

Q. ケアマネジャー資格を取れば年収は上がりますか?

A. 計画作成担当者として配置されると、月3万〜5万円の手当または基本給アップが期待できます。ただし小規模多機能では介護業務との兼務が前提となるため、純粋な計画作成業務に専念したい人は居宅介護支援事業所のほうが適しています。

Q. 運営主体(社会福祉法人・株式会社・NPO)で年収は変わりますか?

A. 一般的に社会福祉法人は賞与が手厚く年収が高めになる傾向、株式会社は基本給が高めで賞与が控えめ、NPOは規模により振れ幅が大きい傾向があります。年収レンジで30万〜50万円の差が出ることもあるため、求人比較は必須です。

Q. 未経験から小規模多機能に入職しても年収アップは見込めますか?

A. 入職時は280万〜310万円程度ですが、3年で介護福祉士、5〜8年でリーダーやケアマネ資格を取得するキャリアパスを描けば、年収400万円台は十分射程圏内です。少人数体制のため経験を積みやすく、スキルアップ速度は大規模施設より速い傾向があります。

Q. 処遇改善加算は本当に給与に反映されていますか?

A. 法令上、加算分は職員の処遇改善に充てる義務があります。事業所は毎年実績報告を行うため、求人面接時に「加算をどのように配分しているか(毎月か賞与か)」を質問すると、運営の透明性も確認できます。

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この記事を書いた人

介護福祉士・ケアマネジャー・看護師・施設長など、現場経験のある執筆者と編集者で構成された編集部です。一次情報と公的データ(厚生労働省・WAM NET・各種白書)を裏取りした上で、現場の体感に近い言葉で記事をまとめています。

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